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ダイハツ タント LA600S
H26 50,000km
古河市より車検整備でご入庫いただきました。
2回目の車検(5年間)で50,000kmと平均的な走行距離になっています。
新車を弊社でご購入いただいたのですが、その後のご入庫はなく、
メンテナンスはお客さまご本人でやっていたと思われます。
【点検】
エンジンルームから点検を実施します。
アーガス バッテリーアナライザーでバッテリー診断。
充電状態・寿命テスト・始動能力テスト・充電能力テストを実施します。
結果は『要注意』。
寿命テストの結果が296CCAと内部劣化が見られます。
とは言え、軽自動車で多い40B19の普通のバッテリーは新品で270CCA程度。
アイドリングストップ車に要求される性能の高さがわかりますね。
CVTフルードの点検。
交換推奨距離でもありますが、量が多めです。
冷却水量はFULL近く。
ですが・・・
冷却水が下のCVTに溜まっていました。
ダイハツのKFエンジンはタンクから吹出したりもすることがあるので、それなのかと色々点検しましたが、
この量が現段階でも残っているのは異常です。
お客さまに確認すると、ご自身で補充されたとのこと。
漏れ等ではないので一安心です。
ブレーキフルードの量もやや低下しています。
ブレーキフルードはブレーキパッドやブレーキライニングが磨耗した分、フルードで満たされる容積が大きくなるので、タンクの液面が下がってきます。
おそらく2年前の車検時には交換されていないため、今回は交換を強くおすすめします。
エアクリーナエレメントもかなりの汚れ具合、交換推奨です。
スパークプラグの点検。
長寿命イリジウムプラグが装着されていますが、中心電極にデポジットが付着していました。
中心電極は細いため、ブラシなどでの清掃が難しい部分になります。
燃焼の中心となるプラグの電極は最も高温。
燃料の燃えカスのようなデポジットであれば、焼ききってしまいますが、これはエンジンオイル由来のデポジットと思われます。
エンジンオイルに含まれる清浄剤の金属成分が高温で燃焼すると、硫酸塩などのデポジットが生成されます。
このデポジットは非常に硬く、自然に綺麗になることは無いと思います。
なので、エンジンオイル自体で対策するもしくは、燃焼室を洗浄するメンテナンスをおすすめしています。
リフトアップして、足回り・下回りを点検していきます!
左前タイヤの側面が膨らんでいます。
エア漏れはないですが、十分注意が必要なので早期交換をおすすめします。
フロント足回りの点検。
ブレーキパッドの残量は5mmほどで半分磨耗しています。
目安としては1~2万km後の交換となりそうです。
ですが、残量よりも気になるのが、パッドに付いている多量の磨耗粉と、かつお節のように薄く削られたような付着物。
ブレーキの制動力自体はきちんと出ているのですが、長期間メンテナンスをしないとこのような状態になりやすくなります。
このような状態で長く使用すると・・・
ディスクローターの磨耗や、ブレーキパッドも早期磨耗・偏磨耗になります。
結果として、ブレーキパッド交換サイクルが早まり、ディスクローターの交換が必要となるので、費用増となることが多いです。
もちろん、故障リスクも高まります。
このモデルのタントはディスクローターが『ベンチレーテッド』という放熱性に優れたものが採用されています。
軽自動車だとソリッドタイプが多かったのですが、ダイハツはムーヴやこのタントに『ブレーキフィーリングの向上』を取り入れて踏み込み量に応じた制動力が出るようにしています。(高級車や輸入車のようなフィーリングです)
ベンチレーテッドローターにしているのも、そのためだと思います。
↑以前紹介したムーヴと同じブレーキを使用していると思われます。
(タントはパッドにリターンスプリングがある分、偏磨耗が抑えられているようです)
ブレーキの状態に差はありますが、今までの軽自動車ではあまりない状態になりやすいので、メンテナンスに注意した方が良いかと思います。
リヤ足回りの点検。
ブレーキダストが溜まっています。
おそらく5万km分だと思いますが、摩擦面に大きな傷などはありませんでした。
ですが、無いに越したことはないので、定期的な点検・清掃をおすすめします。
下回りの点検。
大きな異常はありませんでしたが、補機ベルトはやや磨耗が見られたため、次回車検では要確認となります。
エアコンフィルターも汚れが溜まっているので、交換おすすめとなります!
点検が完了したら、お見積りを作成します。
【整備】
ブレーキパッドを紙やすりで面取りすると、このようにやすりが当たらず段差が出来ているのがわかります。
ディスクローターが段差状に磨耗しているので、改善するにはローターの研磨や交換が必要になります。
ブレーキフィーリングを良くするための改良によって、新車時はすばらしい性能を発揮したとしても、
早期にこのような状態になってしまうと、その性能が一気に落ちてしまいます。
性能を維持するために、余計にメンテナンス費用がかかってしまうのも悩ましい問題ですね。
かつお節のような部分も軽くやすりがけをして、綺麗にしました。
洗浄やグリスアップを行い、ブレーキ作動しやすい環境に整備することで、ブレーキは長持ちします。
ブレーキフルードの交換。
エアクリーナエレメントも交換しました。(写真撮り忘れ)
CVTフルードの交換。
レベルゲージ挿入部からCVTフルードを吸い出して、コンタミチェック。
使用CVTフルードは「アイシン CFEx」
循環式交換となります。
(圧送式交換も可能なのですが、とある理由で循環式交換とさせていただいております)
6リットル交換させていただきました!
あとは発炎筒やエアコンフィルターの交換を実施して整備完了。
完成検査、コンピュータ診断などを行い、車検整備完了となります!
エコリフレッシュキットやエンジンリフレッシュをおすすめさせていただきましたが、今回は実施見送りとなりました。
当社でおすすめしている各リフレッシュ整備ですが、お車の知識がある方・メンテナンスがある程度できる方にも馴染みが無い整備があります。
当社では、「なぜおすすめしているのか」を明確な理由をもって説明する準備ができておりますので、ぜひ耳を傾けていただければ幸いです。
ご入庫ありがとうございました!
【カテゴリー】ATF交換, 車検・点検