ミラ エンジン不調 修理

ダイハツ ミラ L700S
H13 170,000㎞

古河市よりエンジン不調修理でご入庫いただきました。
症状はアイドリング不安定・加速不良などのエンジン不調の不具合で、エンジン警告灯は点灯していませんでした。

症状は1気筒失火している状態といった感じです。
まずは点火系統から点検します。
イグニッションコイルという点火に必要な高電圧を発生させる部品のカプラーを1番シリンダーから3番シリンダーまで順番に外していき、パワーバランスを見ます。
1番、2番のイグニッションコイルを外すと、エンジンがエンストしましたが、3番は変化がありませんでした。
これにより、「3番シリンダーに異常が発生している」ことが判明しました。
イグニッションコイルかな~?と推測しながら、イグニッションコイルを2番-3番を入れ替えましたが、3番シリンダー異常は変わりませんでしたので、イグニッションコイルは正常のようです。

次にスパークプラグを外して点検。プラグの不良は見られませんでしたが、3番スパークプラグが焼け気味だったので、燃料系統が怪しくなってきました。
インジェクターという燃料を噴射する部品の簡易点検で作動音を聴診器で確認すると、3番インジェクターが作動していないようです。

おおかたの目途がつき、営業時間が終わった後のご入庫ということもあり、この日はひとまずここまでにして翌日点検することにしました。
すると、昨日の不調がなくなり、エンジンは調子よく回転するようになってしまいました…

とりあえず昨日怪しかったインジェクターを点検してきます。

インジェクターはキーONで常時電源電圧がかかる状態になり、アース側をコンピューターで制御させて作動させます。

インジェクター(アース側)の電圧を点検すると、正常時は電源電圧よりも少し低い数値となります。
本当はオシロスコープで見ると分かりやすいのですが、簡易的な点検は電圧の測定でも可能です。

症状が出てない状況なので、正常作動しているようです。

インジェクター単体の抵抗値を測定しても少し高いですが、正常範囲かな~?といったところです。

エンジンが暖機すると症状が出る可能性があるので、少し回転数を上げてエンジンを暖めます。
しばらくすると、不具合症状が出てきましたので、同じ点検を実施。

インジェクター(アース側)の電圧は0.19V、インジェクター単体抵抗値は∞Ω。
インジェクターが断線しています。

この後エンジンが冷えるとインジェクターも正常になるので、高温時のみインジェクターが断線して、エンジン不具合症状が発生すると判明しました。

原因がわかったので、見積書を作成し、お客さまに確認。
交換にて了承をもらいましたので、交換作業に進みます。

まずは燃圧を抜くためにフューエルポンプリレーを外してエンジンをから回しします。

そのあと、インジェクター周りを外していき、インジェクターを外します。

半年後に代替を予定しているということで、今回は3番インジェクターのみ交換します。
交換、復元したら作動確認。
高温時も問題なく作動しておりましたので、作業完了となります。

今回はインジェクターでしたが、「高温時のみ症状が発生する」というのは結構あるあるで、症状を確認するのが難しいこともあります。
特に今年の夏はエンジンルーム内の温度が例年以上に高いことが多く、このような不具合が多く見受けられました。
当社では、しっかりと症状確認や点検を実施したいと考えておりますので、お預かり期間が長くなることがありますが、ご了承いただければ幸いです。

ご入庫ありがとうございました!